2011年03月20日 描けない

絵に描いたヒーローは無力だと感じていた。
想像を絶する災厄が降りかかった現実を前に、あれほどワクワクして考えた戦いの空想も、争いを終わらせるマシンの活躍も、ひたすら虚しいものにしか思えなかった。
創作をするという意欲が、まるで引っ込んでしまったようだ。
あれから自分の絵は1枚も描いていない。

仕事という大義名分の前には、ツールを操作する作業としての作画は可能だ。
元々仕事は、プロジェクトの為に淡々と進める作業として考えて来たので、絵の思い入れという事柄は極めて薄い。
故に、どんなリテイクも受け入れる事ができる。
それがプロの仕事と思い、自分の世界の表現とはまったく別物としてやってきた。

そのお陰か、仕事は進められても自分の作品は作れない。
表現しようと考えて来たものが、本当の絵空事で虚しいだけの存在に変貌してしまったかのようだった。

だがそんな思いに屈服したくはない。
創作こそは自分の生き甲斐だったはず。
まだ描けないけど、頑張ってみよう……。